発電事業者に新たな負担を求める「発電側課金」という制度が、2024年4月から始まります。このほど、エリア別に設定される割引額が発表されました。これによって、発電側課金の負担額が実際どれくらいになるのかが明らかになりました。今回は、発電側課金の割引額について詳しく説明します。
そもそも「発電側課金」とは
発電側課金とは、従来、小売電気事業者がすべて負担していた送配電網の維持管理コストの約1割を、発電事業者が負担する新しい制度です。発電所の規模に応じた「kW課金」と、発電量によって変動する「kWh課金」の2つで構成されます。
発電側課金の対象となるのは、原則としてすべての発電所で、例外として、電力系統への逆潮流が10kW未満の電源(住宅用太陽光発電など)とFIT/FIP制度の調達期間内の電源は除外されています。発電側課金は、2024年4月から導入されます。
発電側課金については、こちらの記事でより詳しく説明しています。ぜひ併せてご覧ください。(参考:発電側課金とは? いつから始まる? 負担額の見通しもわかりやすく解説)
発電側課金の試算値、九州は72.42円/kW
発電側課金は具体的にどれくらいの水準になるのでしょうか?国は今年6月、一般送配電事業者からのデータをもとに発電側課金の単価について試算しました。それによると、kW単価とkWh単価の試算値は次の通りです。
(出典:電力・ガス取引監視等委員会)
九州電力エリアでは、kW単価は72.42円/kW、kWh単価は0.27円/kWhとなっています。全国平均がそれぞれ75.13円/kW、0.26円/kWhであることを考えると、平均的な価格設定になっているといえるでしょう。
実際の負担額には「割引相当額付加単価」が加わることに注意
発電側課金単価は前述の通りですが、実際に、発電事業者に求められる負担額を算出するには、割引額を差し引いた上で、「割引相当額付加単価」を加える必要があります。そのため、実際の負担額を求める計算式は次の通りです。
kW課金の実際の負担額 = 発電側課金kW単価 ー 割引額 + 割引相当額付加単価
割引単価と割引相当額付加単価は下表の通りです。
(出典:電力・ガス取引監視等委員会)
割引額(A・B)について
割引額とは、kW課金を対象としたもので、基幹系統に与える影響に着目した「割引A」と、特別高圧系統への影響に着目した「割引B」が設定されます。
割引A・Bはエリア別に設定されており、発電設備を接続する負担が少ないエリアほど、割引額が高くなっています。割引を調整することによって、系統混雑の少ないエリアに新規の発電設備を誘導する狙いがあります。
どのエリアにどれくらいの割引額が適用されるかについては、一般送配電事業者のWEBサイトで公表されています。参考までに、九州電力送配電の割引エリアはこちらです。(参考:九州電力送配電 系統連系受電サービス料金(発電側課金)の導入に伴う割引エリアを公表します(2023年10月17日))
割引相当額付加単価について
割引相当額付加単価とは、上述の割引の原資となるもので、発電側課金の対象となるすべての発電事業者が薄く広く負担します。九州電力エリアの割引相当額付加単価は、5.48円/kWです。
具体例を挙げると、割引の対象ではない発電所の場合、実際に負担するkW課金額は、発電側課金単価72.42円/kWに、割引相当額付加単価5.48円/kWを加えた77.90円/kWとなります。
対象者は最終的な負担額を確認することが重要
発電側課金は2024年度から導入されることが決まっており、開始まであと数ヶ月です。実際に負担する金額を計算するには、発電側課金単価だけでなく、割引額や割引相当額付加単価を加味する必要があります。対象となる発電事業者は、実際の負担額がどれくらいになるかをしっかりと計算することが重要だといえます。
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