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2023年度の出力制御の見通し、九州などで2〜3%の上方修正

資源エネルギー庁は9月8日、2023年度の再生可能エネルギー出力制御の見通しを更新しました。最新の情報によると、出力制御率の見通しは、全国的に前回の予測から上方修正になるとのこと。そこで今回は、最新の再エネ出力制御の見通しと、出力制御を減らすための方策にはどのようなものがあるのかについて解説します。

出力制御率は全国的に上昇、九州では6.7%に

資源エネルギー庁が9月8日に開催した再エネ大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会では、最新の2023年度の再エネ出力制御の見通しが公表されました。この春の出力制御の実績を踏まえて更新された見通しは、下図の通りです。

(2023年度の各エリアの再エネ出力制御見通し等(更新)。出典:資源エネルギー庁

2023年度の当初の想定と比べて、再エネ出力制御率の最新の見通しは全国的に上がっていることがわかります。全国でもっとも出力制御率の高い九州では、当初想定が4.8%だったのに対し、最新の見通しでは6.7%と大幅な上方修正となっています。中国、四国でも2〜3%の上昇となりました。なお、東京エリアでは今年度に出力制御が発生する見込みがないことから、上図には記載されていません。

上方修正の要因には「節電」も?

再エネ出力制御率の見通しが上方修正された理由とは、いったいどのようなものなのでしょうか。資源エネルギー庁によると、見通しを変更した理由は主に3つあります。

1つ目は、エリア同士をつないで電気のやり取りをする連系線を使ったエリア外への送電量が減ったこと。複数のエリアで同時に出力制御が実施されるようになったことで、エリア外へ電気を送ることが難しくなったということです。

2つ目は、節電などによって電気の需要が減少していること。例えば、中国エリアでは電気の需要が前々年度の実績と比べて7%減少するなど、想定より需要が減っていることによって、出力制御率が上がっているとのことです。

3つ目は、晴天日や水量が想定より増加しているため、太陽光発電や水力発電の発電量が増加しているということが挙げられています。

つまり、電気の需要が減って発電量が増えるとともに、エリア間での電気の融通が難しくなっているため、出力制御率が増加しているということです。

再エネ出力制御を減らす対策、年内にとりまとめへ

再エネ出力制御量を減らすために、資源エネルギー庁は年内をめどに対策パッケージをとりまとめるとしています。これまでにも、火力発電の最低出力の引き下げを行う方針が公表されていますが、今回はさらに新しい対策が考案されました。火力発電の最低出力引き下げについてはこちらの記事で詳しく説明していますので、ぜひ合わせてご覧ください。

再エネ出力制御量を減らす対策パッケージ案として挙げられたのは、系統用蓄電池の導入や、九州と中国エリアを結ぶ関門連系線の運用見直し、電気料金の割引メニューを活用して昼間に電気の需要を生み出す取り組みなどです。

具体的には、春・秋の電気の需要が少ない季節などに、9〜16時といった昼間の時間帯の電気料金を割引することで、電気の需要をシフトして出力制御を回避しようとする取り組みが挙げられています。また、現在、夜間電力で稼働している家庭用の高効率給湯機エコキュートを遠隔制御して昼間に稼働させ、電気の需要を創出する案も提示されました。

再エネ出力制御は、本来、発電できる再生可能エネルギーを無駄にしていることにほかなりません。CO2排出削減の観点からも効率が悪いだけなく、発電事業者にとっては、予想する発電収益が得られなくなる恐れもあります。早急に有効な対策を打つことが望まれます。

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