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九電、既存契約の標準メニューも「市場連動」へ。季時別は新規受付停止

九州電力は昨年末、高圧以上のすべての需要家に対して、標準メニューを見直すとともに、季時別メニューの新規受付を停止する発表しました。これらの変更は、2024年度から適用される見通しです。見直しの内容とはどのようなものか、詳しく解説します。

高圧以上の標準メニューの見直しの全体像

(標準メニュー見直しの全体像。出典:九州電力株式会社『高圧以上お客さまの「標準メニュー」の見直しについて』)

九州電力は2023年12月25日、高圧以上の需要家の標準メニューに対して、2024年4月以降、市場連動の仕組みを導入するとともに、電力量料金単価を見直す発表しました。これまで、市場連動の仕組みは、2023年10月1日以降に新規契約をした需要家に対してのみ適用されていました。(参考:九電、高圧以上の標準メニューを「市場連動」へ。既存契約も2024年度中に移行 | 白水電気管理事務所

しかし、2024年4月以降、既存契約を含むすべての高圧以上の需要家に対して、市場連動が適用されることになりました。他にも、燃料費調整額の諸元がアップデートされるとともに、電力量料金単価も見直しされます。また、需給構造が変化したことから、季時別メニューの新規受付を停止することも発表されました。見直しの4つのポイントは、次の通りです。

①市場価格調整の見直し

(標準メニュー見直しの概要。出典:九州電力株式会社『高圧以上お客さまの「標準メニュー」の見直しについて』)

電力卸市場における毎月の平均市場価格が、基準市場価格を上回る、もしくは下回る場合、平均市場価格と基準市場価格との差額に、調整係数を乗じて市場価格調整単価を算定します。基本的な考え方は2023年10月に導入された仕組みと同じですが、平均市場価格の算定方法や基準市場価格、調整係数の値が変更されました。

注目すべき点は、基準市場価格のプラス調整基準が、18円/kWhから13円/kWhに引き下げられたことです。これによって、平均市場価格が6〜13円/kWhを除く場合に市場価格調整が行われるようになり、市場価格調整の可能性が高まったといえます。

②燃料費調整の前提諸元の見直し

毎月の電力量料金に対して付加される「燃料費調整単価」は、原油やLNGなどの平均燃料価格をもとに算定されています。今回、最新の電源構成をもとに、燃料費調整の諸元の見直しが更新されました。

③電力量料金単価の見直し

燃料費調整に伴って、電力量料金単価が次のように見直しされます。具体的には、「見直し前の電力量料金単価」に「2024年1月分の燃料費調整単価」を加算したものが、2024年4月以降の電力量料金単価となります。「2024年1月分の燃料費調整単価」は、高圧で+2.47円/kWh、特別高圧で+2.43円/kWhのため、電力量料金単価が底上げされます。

ただし、電力量料金単価には、燃料費調整と市場価格調整が行われるため、実際に請求される単価は毎月変動します。また、2024年4月から発電側課金制度が導入され、託送料金が変更されるため、正式な電力量料金単価は今年2月をめどに発表するとしています。

④季時別メニューの新規受付停止

(季時別メニューの新規受付停止。出典:九州電力株式会社『高圧以上お客さまの「標準メニュー」の見直しについて』)

そもそも、夜間の電力量料金単価が割安になる季時別メニューは、夜間需要の拡大や電力需要の負荷平準化を目的としてラインナップされていました。しかし、太陽光発電の導入によって日中の電気が増えるなど、需給構造が大きく変化したことなどから、季時別メニューの新規受付が停止されることになりました。対象となるのは、上記の4メニューです。なお、すでに季時別メニューを契約中の需要家は、現在の契約を継続できるとしています。

対象となる需要家が多く事前の十分な周知が必須

今回の見直しは、契約中の需要家も含まれるため、昨年10月の見直しと比べて、対象者が大幅に多くなると予想されます。電力量料金が変更されることから電気料金全体への影響が大きく、事前に十分に周知をしておかなければ、混乱を招くかもしれません。2月の託送料金の変更も含め、今後の九州電力の発表をしっかり確認することが重要です。

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