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家庭や中小企業で整備が進む「DR ready」とは?

経済産業省は、家庭や中小企業におけるデマンドレスポンス(DR)を推進するための新たな方針として「DR ready」という環境を整えていく考えを打ち出しました。「DR ready」とはどのようなものなのか、わかりやすく解説します。

「DR ready」とは

経済産業省によると、DR readyとは、家庭や中小企業などにおいてデマンドレスポンス(DR)を行う環境が整っている状態とされています。簡単にいうと、DRを行う準備ができている状態ということでしょう。具体的には事業者・市場・機器がそれぞれ以下のような環境にあることを指します。

【事業者】DRリソースを遠隔制御(もしくは自動制御)できるアグリゲーター等のサービスが多数存在している

【市場等】これらの DR が電力市場等で有効に活用されている

【機器】住宅等に設置される様々なリソースに遠隔制御機能が標準的に具備されている

(出典:経済産業省

そもそもDRとは、電気の供給に合わせて需要パターンを変化させることです。電気の需要を供給に柔軟に合わせることができれば、再生可能エネルギーをより有効に活用できるなどのメリットが生まれます。例えば、太陽光発電が多く発電する昼間にたくさん電気を使うようにすれば、出力抑制によって無駄になる再エネ電気の量を減らすことができるでしょう。

なお、アグリゲーターとは、DRによってコントロールされた電気の需要をとりまとめて電力会社と取引する役割を担う事業者のことです。

なぜ家庭や中小企業なのか

現在、エネルギーを多く消費する産業部門や運輸部門などの企業に対しては、省エネ法という法律によって非化石エネルギーへの転換やDRへの取り組みが求められています。その一方で、家庭や中小企業に対してはこうした仕組みがありません。

ところが、国が掲げる地球温暖化対策計画や第6次エネルギー基本計画では、家庭部門にも大幅なCO2削減や省エネを求めているのです。そのため、経済産業省では、家庭や中小企業などで使われる電気機器に着目して、非化石エネルギーへの転換やDRを促進するアプローチを検討してきました。こうして検討された項目のひとつが「DR ready」なのです。

各機器のDR ready要件 検討はこれから

家庭や中小企業の電気機器を通じてDRを行うには、各機器がネットワークに接続され、メーカーやアグリゲーターなどと通信できる条件が整っていなければなりません。家電製品の通信規格には現在、「ECHONET-Lite」や各社のアプリ・クラウドなどさまざまな形態があります。経産省では、こうした規格をどのようにするかも検討が必要だとしています。

規格を検討する際には、日本だけ独自の要件を設定するのではなく、先行する海外事例を参考にしながら、グローバルで通用する規格や要件を検討する必要があります。なぜなら、家電メーカーが国内だけでなく海外市場でも通用する家電製品を製造できれば、大きなビジネスチャンスになると考えられるからです。

例えば、英国では2022年6月から、電気自動車(EV)充電器にDR対応要件を求め、これに違反した場合には罰金を徴収するなどの措置がとられています。また、オーストラリアの一部の州では、2024年7月からEV充電器のDR対応の義務化が予定されています。

国内におけるDR readyの要件はこれから検討が進められますが、こうした海外事例を参考にする可能性はあるでしょう。将来的には、今後、DR ready対応タイプの家電製品などが普及していくかもしれません。この先のDR readyの要件検討に注目していきましょう。

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