
経済産業省は3月17日、新たなエネルギー基本計画を踏まえた発電設備の電気保安のあり方について検討を始めました。この先、社会実装が進むと予想されるペロブスカイト太陽電池の電気保安についても検討の方向性が示されました。
第7次エネルギー基本計画、太陽光発電をさらに拡大へ
国のエネルギー政策の根幹となる第7次エネルギー基本計画が閣議決定されたことを受け、新たなエネルギーミックスに基づく電気保安のあり方が問われています。経済産業省は3月17日の第30回産業構造審議会で、第7次エネルギー基本計画を踏まえた、太陽光発電設備の保安上の課題と検討の報告性を議論しました。
なお、第7次エネルギー基本計画については、こちらの記事で詳しく解説しています。ぜひあわせてご覧ください。(参考:第7次エネルギー基本計画案、自給率向上と省エネ促進を車の両輪に)
第7次エネルギー基本計画では、屋根設置型の太陽光発電の導入拡大や、ペロブスカイト太陽電池の社会実装などによって、2040年度の総発電電力量に占める太陽光発電の割合が23〜29%程度になるとしています。ペロブスカイト太陽電池については、こちらの記事をご覧ください。(参考:ペロブスカイト太陽電池とは何か。実用化に向けての課題は?)
これからの太陽光発電の電気保安の課題を整理
その一方で、2023年度の発電所における電気事故で最も多いものは、太陽光発電所における電気事故でした。この先、太陽光発電設備が増加すると、電気事故も増える可能性があることから、審議会では電気保安の現在と将来の課題を次のように整理しました。
現在の課題①:指示物の構造強度等に関する事故
自然災害によって、モジュールや架台が飛散・破損する事故が起きていることから、太陽光発電設備の支持物の構造強度を確保するための施策が必要だとされました。
現在の課題②:PCSの破損事故と重大な電気火災
2023年度の太陽光発電設備(自家用電気工作物)の事故の中で、パワーコンディショナ(PCS)に起因するものが約6割であったと報告されています。PCSの発火を未然に防ぐ保安のあり方や、出荷の原因を特定する分析能力の向上が必要であるとされました。
将来の課題:ペロブスカイト太陽電池の保安の確保
軽量で柔軟なペロブスカイト太陽電池は、多様な設置方法が想定されることから、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術開発機構(NEDO)が2025年度、安全な施工や維持管理のガイドラインを発行する予定です。そのガイドラインのとりまとめにあたって、具体的な施工方法を例示する重要性が強調されました。
その他に、電気保安の人材の確保やスマート保安技術の活用・促進などをどのように進めていくかも今後の検討課題とされました。太陽光発電設備の電気保安は、発電所だけでなく近隣の地域の安全にも直結する重要な問題です。慎重かつ建設的な議論が期待されます。
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