2024年度から始まる発電側課金制度は、発電事業者に送配電管理コストの一部の負担を求めるものです。これに伴って、需要家が支払う託送料金の見直しが行われることになっています。来年度からの電気料金にどのような影響があるのか、九州電力のケースをもとに解説します。
発電側課金の仕組み
(発電側課金について。出典:経済産業省・資源エネルギー庁)
そもそも、発電側課金とは、送配電網の維持管理コストの負担を、発電事業者にも新たに求める制度です。これまで、送配電網の維持管理コストは、託送料金として、小売電気事業者を通じて需要家が100%負担していました。
発電側課金が始まると、送配電網の維持管理コストの約1割を発電事業者が負担するようになります。同時に、小売事業者がこれまで負担していた送配電網のコストは、従来の約9割ほどに抑えられる見込みです。そのため、需要家が支払う託送料金の見直しが予定されているのです。
発電側課金については、こちらの記事でより詳しく解説しています。ぜひ、併せてご覧ください。
2024年度からの託送料金は?
こうした背景から、2024年4月から託送料金の見直しが進められており、九州電力送配電などの一般送配電事業者は12月1日、託送料金を変更する認可申請を経済産業省に提出しました。
提出された託送料金単価のうち、九州電力送配電の電圧別の託送料金単価(標準接続送電サービス)は次の通りです。
(需要側託送料金(標準接続送電サービス)単位:円/kW、円/kWh。出典:九州電力送配電株式会社)
上図の通り、九州電力送配電の託送料金は、概ね1kWhあたり約0.4円の値下げになるとされています。標準接続送電サービスにおいては、託送料金の基本料金における割引はありません。託送料金の値下げは電気料金に反映されると考えるため、2024年度からの九州電力エリアにおける標準メニューは、託送料金の減額によって約0.4円/kWhほど値下げになるでしょう。
託送料金の新たな配分のイメージ
(費用の配分イメージ。出典:九州電力送配電株式会社)
九州電力送配電によると、発電側課金と需要側の託送料金の配分のイメージは上図の通りです。もともと、需要側で5,027億円の送配電網の維持管理コストの全額を負担していましたが、発電側課金制度の開始によって、このうち343億円を発電側で負担することになり、発電側の負担を除いた4,684億円が需要側の託送料金になるとされています。
2024年度からの電気料金は変動要素が多い
しかし、2024年度からの電気料金における変動要素は、発電側課金だけではありません。新たに、すべての小売電気事業者に対して「容量拠出金」の負担も求められるようになるのです。容量拠出金とは、将来の供給力を確保するための容量市場の開始に伴って新しく導入されるもので、小売電気事業者のシェアによって負担額が決まります。
容量拠出金は小売電気事業者が負担するものですが、場合によっては、電気料金に転嫁されて、需要家が負担するケースも十分考えられます。具体的に、来年度からの容量拠出金がいくらになるのかについては、まだ発表されていません。小売電気事業者各社の今後の発表が注目されます。
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