トピックス

GXに欠かせない水素・アンモニア、今後10年間のロードマップ

発電や運輸、産業などの幅広い分野で活用が期待される水素・アンモニア。政府はこのほど、今後10年間のGX(グリーントランスフォーメーション)実現に向けたロードマップで、水素・アンモニアに関する導入目標や規制・制度の整備などの見通しを公開しました。

GX(グリーントランスフォーメーション)とは

GXとは、グリーントランスフォーメーション(Green Transformation)を省略した言葉です。これまでの経済・社会は、18〜19世紀に起こった産業革命によって、石油や石炭といった化石燃料を主なエネルギー源としていました。GXでは、化石エネルギーから二酸化炭素(CO2)を排出しないクリーンエネルギーにシフトしていきます。それと同時に、経済社会システムをよりよく変革することも目指しているのです。

このように、GXには脱炭素にとどまらず、経済や社会を革新していくという意味も込められています。2030年や2050年といった将来に向けて、今、政府や多くの企業がGXの実現に向けた取り組みを進めています。

(参考:GX(グリーントランスフォーメーション) – トピックス – 脱炭素ポータル|環境省

GXの突破口としての水素・アンモニア

GXを実現するための重要な技術の一つが、水素・アンモニアです。水素やアンモニアは、発電や運輸、産業といったさまざまな分野で活用できる次世代エネルギーとして期待されています。水素は、水などを電気分解することで作り出すことができ、燃やしても二酸化炭素(CO2)を発生しません。また、アンモニアもCO2を排出しない燃料として注目されるほか、水素を保管したり運搬したりする際の媒体(キャリア)としても活用することができます。(参考:アンモニアを燃料や媒体に! アンモニア混焼発電の事例や課題は? | 白水電気管理事務所

政府が12月22日に実施したGX実行会議(第5回)では、今後10年間のロードマップであるGX実現に向けた基本方針(案)が公開されました。この基本方針で示された、水素・アンモニアの導入促進に関するロードマップは次の通りです。

(GX実現に向けた基本方針(案)参考資料。【今後の道行き】事例1:水素・アンモニア。出典:内閣官房 GX実行会議(第5回)資料2より抜粋)

政府は長期的な目標として、2030年に水素・アンモニアをそれぞれ300万トン、2050年には水素2000万トン、アンモニア3000万トンを導入することを目指しています。ロードマップでは、この目標に向けて、今後10年間で約7兆円の投資を呼び込むとされました。

再生可能エネルギーを使って生成する水素のことを「グリーン水素」と呼びますが、ロードマップでは、大規模なグリーン水素の生産や供給をなるべく早く実現するため、研究開発や技術支援に力を入れることも盛り込まれています。

足元では、2025年に開催される大阪・関西万博で、ガスタービンを使った大規模な水素発電を行う計画も発表されています。ほかにも、水素による燃料電池を使ったバスや船、電車などのモビリティも運行される見通しです。

しかし、水素・アンモニアを安全に使うには、保安規制や制度の整備が欠かせません。前回の記事でもお伝えしたとおり、水素保安に関する制度はこれから整備される予定です。そのため、このロードマップでは、水素・アンモニアに関する規制や制度について、2024年度を目処に策定していく見通しが掲げられました。これらの制度がどのような内容になっていくのか、これからも注目していきます。(参考:水素保安とは? 安全・安心な水素利用に向けた検討がスタート

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