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水素保安とは? 安全・安心な水素利用に向けた検討がスタート

水素は、国の第6次エネルギー基本計画でもエネルギー安全保障と温暖化対策の切り札として位置付けられています。現在、水素社会の実現に向けた検討が進められていますが、水素を取り扱ううえで欠かせないのが「水素保安」です。今回は、電気保安ならぬ水素保安について、どのような議論が始まっているのか解説します。

ニーズ高まる水素保安とは

水素保安とは、水素を安全に利用するために行う定期点検や保安業務のことを指すと考えられます。電気保安、高圧ガス保安などと同様に、水素を使う際にも水素保安が必要になるということです。

とはいえ、水素が工場や事業所などで本格的に利用されるのは、もう少し先のことになるでしょう。経済産業省ではこのほど「水素保安戦略」の策定に向けた議論がスタートしたところです。水素保安戦略では、日本の水素技術で世界をリードするために必要な技術開発、社会実装、保安ルールなどを取りまとめる見込みです。

人材育成や資格制度の整備なども課題

経産省が示した水素保安戦略の案では、水素を安全・安心に利用するためには、まず、社会とのリスクコミュニケーションが重要だとされています。リスクコミュニケーションとは、安全性や危険性についてしっかりと情報発信や教育を行い、正しい理解を促進するものです。現在行われている水素に関するリスクコミュニケーションとしては、九州大学水素エネルギー国際研究センターによる見学の受け入れや模擬講義などが挙げられました。

(参考:水素社会実現に向けたリスクコミュニケーションの事例。出典:経済産業省 水素保安戦略の策定に係る検討会事務局『水素保安戦略の策定に向けた 主な論点と今後の対応方針案について』)

ほかにも、水素保安に関わる人材の育成や海外の水素保安の動向なども把握し、水素保安ルールを策定していく必要があるとされました。特に、水素社会を実現するには、それを支える保安人材を確保することが大切です。

そのため、水素保安に係る資格制度やインセンティブをどのように設定していくかも重要なテーマの一つだとされています。一部の教育機関や民間企業では、独自に保安教育などに取り組んでいるところもありますが、今後は国が関与して資格制度などを整えていく必要があるでしょう。

今回の検討会では、水素保安に関する資格制度として、高圧ガス製造保安責任者、高圧ガス販売主任者、ボイラー・タービン主任技術者、ガス主任技術者の4つの資格が例示されました。今後、水素保安の資格制度が検討されていく中で、これらの資格を参考にする可能性もあるかもしれません。本ブログでは、こうした検討の動向も引き続きお届けしていきたいと考えています。

(参考:経済産業省 水素保安戦略の策定に係る検討会事務局『水素保安戦略の策定に向けた 主な論点と今後の対応方針案について』)

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