経済産業省は11月18日、スマート保安などを活用する事業者に対する新たな認証制度の検討の方向性を明らかにしました。制度の名前は「認定高度保安実施設置者制度」。今回は、この新しい制度について概説します。
「認定高度保安実施設置者制度」とは?
認定高度保安実施設置者制度とは「テクノロジーを活用しつつ、自立的に高度な保安を確保できる事業者」についての認証制度です。つまり、スマート保安の使い手を対象とする制度だと考えてよいでしょう。高圧ガス保安法・ガス事業法・電気事業法に共通する新しい認証制度として創設が予定されています。
認定高度保安実施設置者の認定要件は「経営トップのコミットメント」「高度なリスク管理体制」「テクノロジーの活用」「サイバーセキュリティ対策」の4つです。このことから、認定高度保安実施設置者を設置できるのは、ある程度大規模な事業者になると考えられます。
一定水準以上の保安レベルをもつ事業者を認定高度保安実施設置者として認定し、行政手続きなどを簡略化することで、自主的な取り組みを促す背景があります。認定高度保安実施設置者に認められる特例としては、保安規定の届出や主任技術者選任の届出を省略できること、定期自主検査の実施時期を柔軟に調整できること、使用前・定期の安全管理審査を省略できることなどが挙げられています。
要件のひとつにスマート保安技術などの活用も
11月18日の経産省の電気保安制度ワーキンググループでは、具体的な認定要件などについて検討されました。中でも、スマート保安技術などの「テクノロジーの活用」という要件に関しては、設備の劣化状況を診断する技術、運転管理を高度化する技術、保安管理業務を高度化・効率化する技術などが例示されています。事業者がこれらのスマート保安技術を導入した場合、導入前後の効果やリスクの評価、検証プロセスを求めるといった要件が検討されました。
認定高度保安実施設置者制度は、電気事業法の改正案に盛り込まれていたもので、今年6月に改正案が成立していました。改正法の施行時期は2023年内になるとみられますが、具体的なスケジュールはまだ明らかになっていません。今後の制度の検討動向に合わせて、施行時期も注視していく必要がありそうです。
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