今、太陽光発電の「セカンダリー市場」と呼ばれるマーケットが注目を集めています。そもそも「セカンダリー市場」とは何か、市場規模やマーケットの現況についてご紹介します。
太陽光発電の「セカンダリー市場」とは?
太陽光発電のセカンダリー市場(セカンダリーマーケット)とは、すでに稼働している発電所を売買するマーケットのことです。太陽光発電所を新しく建設するのではなく、既設の発電所について取引するため、中古市場という意味で「セカンダリー市場」「セカンダリーマーケット」と呼ばれます。
セカンダリー市場では、稼働中の発電所そのものを売買することもありますが、売電の権利だけを取引することもできます。また、太陽光発電事業の譲渡を含むこともあります。
セカンダリー市場の市場規模は拡大する見通し
2020年9月、マーケティングファームの矢野経済研究所が太陽光発電のセカンダリー市場の市場規模について調査しました。同社のプレスリリースによると、セカンダリー市場の市場規模は右肩上がりに増えており、2021年には1,210MWに達すると予測されています。
なぜ今セカンダリー市場が注目されているのか
太陽光発電のセカンダリー市場が注目されている背景として、固定価格買取(FIT)制度による買取単価が下落傾向にあることが挙げられます。2012年のFIT制度が開始された当初の買取単価は、1kWhあたり税抜き40円(10kW以上)でした。
現在、買取単価は発電容量によって細かく区分され、2021年度の買取単価は10~50kWが同12円、50~250kWが同11円と大幅に下がっています。250kW以上の発電所には入札制が導入され、買取単価はさらに下がる傾向にあります。
こうした背景から、買取単価の高かった頃の中古の発電所の方が利回りがよいと考える投資家などの間で、セカンダリー市場の人気が高まっていると考えられます。
電気主任技術者によるセカンダリー発電所選びのポイント
ここからは電気主任技術者の視点で、セカンダリー(中古)の太陽光発電所を選ぶときにチェックしたいポイントをお伝えします。
セカンダリーの発電所で確認すべきポイントは、FIT買取単価だだけではありません。稼働して数年がたっている発電所であれば、発電設備の経年劣化も考えられます。そのため、設備が問題なく動作しているか、電気的なトラブルが発生していないかなどの調査が重要です。
発電設備の調査にあたっては、遠隔監視装置などではなく現地に赴いての実機の確認が大切だと考えます。太陽光パネルだけでなく、パワコンや接続箱、集電箱といった付属機器の状態確認も必要になるためです。
また、架台や基礎といった建築上の問題の有無も現地でしか確認することができません。セカンダリー発電所の取引をお考えの方は、ぜひ発電所の現地確認による査定のうえ検討されることをおすすめします。
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