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新電力はなぜ電気代が安くなる? 切り替え時はここに注意!

「新電力に切り替えると電気代が安くなる」ということは、よく耳にするようになりました。しかし、新電力への切り替えにあたっては、その仕組みや注意点、デメリットをきちんと理解することが大切です。今回は、新電力に関してよくいただくご質問にわかりやすく答えます。

新電力とは何か?

電気を販売できるのは、これまで九州電力などの地域の電力会社に限定されていました。しかし、国の電力システム改革の中で電力自由化が進み、新規参入の電力会社も電気を販売できるようになりました。この新規参入の電力会社を「新電力」と呼びます。新電力が電気を売る仕組みは、下図の通りです。

(筆者作成)

新電力は、地域の電力会社と同じように電気を売る役割を担います。実は、需要家に電気を届ける仕組みは地域の電力会社も新電力も同じで、一般送配電事業者の送配電ネットワークを通じて販売します

なお、一般送配電事業者は発送電分離によって中立な立場となっています。地域の電力会社も新電力もネットワーク使用料を支払うことで、等しく送配電ネットワークを利用できる仕組みになっているのです。(参考『発送電分離とは? いつから行われている? わかりやすく解説!』)

なぜ電気代が安くなるのか?

なぜ電気代が安くなるのかを考える前に、電気代がどのような構成要素で成り立っているかを考えてみましょう。電気代は大きく分けて、発電所から電気を購入する調達コスト、スタッフの人件費などの管理コスト、送配電ネットワークの使用料である託送コストから成り立っています

このうち、送配電ネットワークの使用料は地域の電力会社であっても新電力であっても等しく発生します。そのため、調達コストと管理コストが電気代に直接反映されると考えられます。

新電力が電気代を安く抑えられるのは、この調達コストと管理コストを経営努力によって圧縮しているからです。特に、新電力は地域の電力会社より人員が少ないコンパクトな体制であることが多く、管理コストを大幅に圧縮できるケースもあります。

新電力に切り替えると停電が増える?

新規参入の電力会社である新電力と契約すると、停電が増えるなどのリスクがあるのではないかを心配する声はよく聞かれます。しかし、電気を需要家に送り届ける仕組みは、地域電力でも新電力でも同じです。そのため、新電力に切り替えたからといって停電のリスクが増えることはありません

また、停電後の復旧にあたって、新電力と契約していると復旧作業を後回しにされるのではないかという質問をいただくこともあります。しかし、復旧作業にあたるのは中立的な立場である一般送配電事業者です。また、こうした差別的な扱いは法令で禁じられています

新電力に切り替えるデメリットは?

電気代が下がり、停電のリスクも変わらない新電力。切り替えにあたって注意すべき点は、新電力との契約内容です。電気料金の削減額や契約単価、契約期間や条件などは新電力の個社によって異なります。契約時には、これまで通りだという思い込みを捨て、しっかりとチェックする必要があります。

実際に、2020年末に日本電力卸市場の価格が高騰した際、市場連動型の契約をしていた需要家が通常の数倍もの電気代を支払ったという事例も報告されています。契約前に新電力の提案内容をしっかりとチェックし、疑問や不明点があれば確認することをお勧めします

新電力のシェアはどれくらい?

2021年3月時点で、総需要に占める全国の新電力のシェアは19.5%となっています。電圧別にみると、特別高圧・高圧が約19.0%、低圧が少し高い約20.2%です。

(出典:電力・ガス取引監視等委員会 第62回 制度設計専⾨会合 資料

新電力のシェアはアップダウンを繰り返しながらも、徐々に右肩上がりとなっていることが見てとれます。

当社のブログでは、今後も電力の制度にかかわる重要なトピックスについてご紹介していきます。ご不明な点やご意見がありましたら、どうぞお気軽にお問合せください!

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