保安人材不足などさまざまな課題に悩まされている電気保安。課題解決策のひとつである「スマート保安」に期待が寄せられています。スマート保安とは何か、導入に向けて乗り越えるべきハードルなどについて説明します。
電気保安のさまざまな課題
電気保安を取り巻く課題には、さまざまなものがあります。電気設備の高経年化に加えて、保安人材の高齢化や人材不足は大きな問題です。一方で、再エネ発電設備や蓄電設備といった新たな保安対象も増加しており、問題に拍車をかけています。近年は、豪雨災害や台風被害といった自然災害も猛威を振るっており、こうしたリスクに対応できる保安体制が求められています。
中でも、保安人材に関しては当社も懸念している通り、高齢化などによる人材不足が顕著です。人材不足の原因については、高齢化による減少のほか、若手の新規就労者が少ないことも挙げられます。経済産業省もこうした課題を認識し、電気主任技術者の仕事内容についてのPRなどを行い、就労を促しているところです。また、全国電気管理技術者協会連合会といった電気業界の団体もポータルサイトを立ち上げるなど、若手就労者の獲得に力を注いでいます。
課題解決策としての「スマート保安」とは?
電気保安の課題解決策のひとつとして注目されているのが「スマート保安」です。スマート保安とは、最新のデジタル機器やテクノロジーを電気保安に取り入れ、効率化を目指す新たな取り組みのことです。具体的には、センサーを用いた遠隔監視やロボット、ドローンを活用した点検などが挙げられます。
スマート保安のメリットとしては、少ない人員や時間でも質を落とさず電気保安を実施できる点があるでしょう。また、センサー類や常時監視システムなどの導入により、点検頻度を低くすると同時に、異常の早期発見につながると期待されています。
一方で、スマート保安を実現する最新設備の導入には、当然ながら初期投資が必要です。費用を負担する設置者側に導入を促すには、スマート保安のメリットや意義を理解してもらわなければなりません。何より重要なのは、設置者にもしっかりと便益のある制度設計やシステムの構築でしょう。スマート保安の本格的な運用に向けて、現実に即した実現性の高い制度・システムとなることが望まれています。
スマート保安のアクションプランが決定
こうした中、経済産業省のスマート保安官民協議会は4月30日に「電気保安分野 スマート保安アクションプラン」を発表しました。スマート保安に役立つ新技術や関係する規制・制度の見直し内容をまとめたものです。同協議会では2020年から安全で効率的な産業保安を目指して検討が重ねられてきました。
アクションプランでは、定置センサーの高度化や増設、ロボットやドローン、デジタルデータやAIなどを駆使しながら、電気保安の課題解決を目指すとしています。こうしたスマート保安の技術の実装にあたり、2025年を最初の目標年と定め、実用化を進めていくとしています。
今回ご紹介したスマート保安は、制度やシステムなどの課題はあるものの、電気保安の次世代化に向けた重要な役割を担っています。本ブログでは、これからも電気保安の制度やシステムについての重要なトピックスについてご紹介していきたいと思います。ご不明な点やご意見がありましたら、どうぞお気軽にお問合せください!
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