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日本のエネルギー政策、高市政権の誕生でどう変わる?

高市新政権では今後、日本のエネルギー政策はどのように変化していくのでしょうか。新政権の発足から1ヶ月、これまでの発信内容からこの先の方向性を考えます。

総合経済対策の3本柱

2025年10月21日、高市早苗内閣が発足しました。高市総理は所信表明演説で、「国内生活や国内産業の持続、競争力の強化には、エネルギーの安定的で安価な供給が不可欠です」と、エネルギー安全保障の重要性を強調しました。

新内閣は、足元の物価高対策を最優先の課題としてとらえており、内閣発足1ヶ月となる11月21日、「総合経済対策等についての会見」で、経済対策の3つの柱として「①生活の安全保障・物価高への対応」、「②危機管理投資・成長投資による強い経済の実現」、「③防衛力と外交力の強化」を挙げました。

このうち、第1の柱である物価高対策では、電気・ガス代の補助を再開します。高圧の電気代に関しては、2026年1・2月使用分は1.3円/kWh、3月使用分は0.7円/kWhを補助するとしています。

(参考:電気・ガス料金支援|経済産業省 資源エネルギー庁

カーボンプライシングの導入に意欲

第2の柱である、エネルギー・資源安全保障の強化については、「GX推進戦略に基づく成長志向型カーボンプライシング構想の具体化を通じた計画的支援を行います」と述べました。

GX推進戦略とは、ロシアによるウクライナ侵略を受けて2023年に閣議決定されたものです。GX(グリーントランスフォーメーション)を通じて、脱炭素、エネルギー安定供給、経済成長の3つを同時に実現するための戦略と位置付けられています。具体的な政策として、「成長志向型カーボンプライシング構想」が盛り込まれています。これは、CO2排出量に対して値付けを行うことで、よりCO2排出量が少ない商品やサービスの価値を向上させようとする取り組みです。こうした仕組みを段階的に取り入れることで、カーボンニュートラルに向けた動きを加速させる狙いがあります。

(参考:首相官邸 総合経済対策等についての会見

ペロブスカイト太陽光や次世代革新炉の社会実装を目指す

高市総理はさらに、エネルギー安全保障に関して、国産のエネルギーに対する支援を厚くする考えを示しています。所信表明演説では、国産エネルギーとして、次世代型太陽光発電設備であるペロブスカイト太陽電池を挙げました。また、脱炭素電源を最大限活用するとともに、次世代革新炉やフュージョンエネルギーといった原子力発電の社会実装を目指すと述べました。

このように、高市内閣では、脱炭素とともに社会・経済の変革を進めるGXのコンセプトがより強く打ち出されています。脱炭素電源の中でも、経済回復・成長やエネルギー安全保障に資するものに対して後押しを強化することが予想されます。その一方で、自然や景観の破壊を伴う発電所の開発などには強い抵抗を示しています。今後、こうした考えが具体的な政策にどのように反映されていくか、注目していきます。

(参考:首相官邸 第219回国会における高市内閣総理大臣所信表明演説

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