
需給調整市場での運用収益は、蓄電池ビジネスの成功のための重要なポイントです。需給調整市場の二次調整力は2種類に分類され、それぞれ求められる調整機能が異なります。今回は二次調整力について詳しく解説します。
二次調整力が提供する調整機能は2種類
前回の記事では、需給調整市場の中でもっとも要件が厳しい「一次調整力」とは何かについて解説しました。今回は、「二次調整力」の提供する機能や要件について説明します。なお、一次調整力についてはこちらの記事をご覧ください。(参考:一次調整力とは? 需給調整市場で収益を上げる仕組みを探る | 株式会社白水電気管理事務所)

調整力(調整機能)の分類。(出典:一般社団法人電力需給調整力取引所)
二次調整力は「二次調整力①」と「二次調整力②」に分類されます。まず、二次調整力①は、数分から十数分程度の負荷変動である短周期成分に対応し、LFC機能を提供します。LFCとは「負荷周波数制御(Load Frequency Control)」を意味し、周波数が基準周波数(50Hzまたは60Hz)から外れた場合、一般送配電事業者の中央給電指令所が調整に必要な周波数を計算して、LFC調整機能を持つ発電機などに制御指令を出し、出力の調整を自動で行う機能のことです。これは周波数維持機能の根幹をなす機能です。
こうした背景から、二次調整力①を提供しようとする発電所や蓄電池には、中央給電システムからのLFC信号に対応できることが要件として設定されています。
次に、二次調整力②は、十数分から数時間程度という比較的長時間の負荷変動である長周期成分に対応します。「EDC(Economic Dispatch Control)」という機能を提供します。EDCとは、各エリアの中央給電指令所が十数分から数時間先の需要変動を予測して、エリア全体の発電費用が最小となるように、経済的な出力配分を計算する機能のことです。
このように、二次調整力①と二次調整力②とでは、対応する負荷変動の種類や提供する機能が異なります。そのため、一般送配電事業者からの指令の間隔もそれぞれ設定されており、下図の通り、二次調整力①は指令間隔が早く0.5〜数十秒、二次調整力②は数秒から数分となっています。

需給調整市場で取り扱う商品一覧。(出典:一般社団法人電力需給調整力取引所)
二次調整力①の調達量の増加が急務
二次調整力①②は、2024年4月から需給調整市場で取引できる製品としてラインナップされました。現在は、北海道から九州までの9エリアで取引が行われています。しかし、取引結果を見ると、募集量に対して調達量が大幅に少ない状況が続いています。特に、二次調整力①は、東北、東京、中部エリアで不足率が高くなっています。九州エリアは比較的調達が行われており、2024年度の不足率は約29%に止まっています。二次調整力②は、要件が二次調整力①ほど厳しくないことから、全国的に調達の不足率は低く抑えられています。二次調整力①は周波数調整の要であり、調達の改善が急務となっています。
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