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蓄電池の種類別に特徴と用途を比較!〜リチウムイオン、レドックスフロー、NAS、全固体電池〜

蓄電池というと、スマートフォンなどのバッテリーとして馴染み深いリチウムイオン電池をイメージする人が多いかもしれません。しかし、蓄電池の種類には他にもバリエーションがあります。そこで今回は、蓄電池の種類別の特徴や用途について、詳しく見ていきましょう。

一次電池と二次電池の違い

乾電池のように、一度で使用すると繰り返し使えない電池を「一次電池」と呼びます。その一方で、充放電を繰り返して使用できる電池を「二次電池」といい、さまざまな用途に活用されています。身近な例を挙げると、住宅用・産業用蓄電池、電気自動車、スマートフォンやパソコンのバッテリーなどがあります。

二次電池は、使用される材料によって、いくつかの種類があります。主な電池の種類と特徴は次の通りです。

①リチウムイオン電池

リチウムイオン電池は比較的小型で、高い電圧を供給できます。1回の充電から放電までを1サイクルといい、リチウムイオン電池は約3,500サイクルとされています。使用状況によりますが、一般的な寿命は6〜10年であるといわれています。

リチウムイオン電池は広く普及していますが、原材料であるリチウムの調達には課題があると考えられています。リチウム資源の埋蔵量は豊富であるものの、南米や中国に遍在しており、地政学的なリスクが払拭できません。また、世界中でリチウムイオン電池の需要が急増しており、供給が需要に追いついていないこともコストを押し上げる一因とされています。

②レドックスフロー電池

レドックスフロー電池とは、バナジウムの電解液を循環させ、イオンの酸化還元反応を利用して充放電する電池のことです。主に、セル、正極・負極、タンク、電解液、電解液を循環させるポンプから構成されます。電極や電解液の劣化が少ないため、長寿命であることが強みです。充放電サイクルは1万回以上、寿命は10年以上とされています。また、容量を大規模化しやすく、発火の危険が少ないといったメリットもあります。

そのため、再生可能エネルギーが余剰する際の貯蔵用としての活用が期待されています。タンクを増設するだけで電池容量を大きくすることができるため、大規模な電力貯蔵用蓄電池として利用できると考えられています。

その一方で、リチウムイオン電池に比べてエネルギー密度が低く、バナジウム資源の埋蔵国に偏りがあるといった課題もあります。

③ナトリウム・硫黄電池

ナトリウム・硫黄電池(NAS電池)とは、正極に硫黄、負極にナトリウムを用いた電池です。エネルギー密度が高く、大容量化が可能なため、大規模な電力貯蔵の用途で活用されています。具体的には、電力の負荷平準化や、落雷などによる瞬時電圧低下、停電時のバックアップ電源といった用途で使用されています。また、材料にレアメタルを使用しないため、資源の制約なく製造することが可能です。

その一方で、動作温度が約300℃であり、常温では動作しないため、ヒーターなどによって加熱する必要があります。

④全固体電池

全固体電池とは、液体の電解液ではなく、固体を使用した電池のことを指します。中でも、リチウムイオン二次電池(全固体LIB)は、温度の変化に強く発火のリスクが低いという安全性の高さ、出力の高さから、電気自動車の電源としての利用に期待が高まっています。

しかし、固体の電解質としては、イオン伝導率が高いものを使用する必要がありますが、この材料の選定にはまだ課題があるとされています。

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