変圧器の省エネ基準についてはこれまで3回の改正が行われてきましたが、2026年度から新たに「トップランナー変圧器の第三次判断基準」が制定される見通しです。対象となる変圧器や具体的な変更の内容などについて、わかりやすく解説します。
トップランナー判断基準の見直しの経緯
エネルギーの使用の合理化等に関する法律(省エネ法)では、特定の機器にエネルギー消費効率の達成目標・年度を定めることで、効率の高い機器の普及促進を図っています。これを「トップランナー方式」といいます。高圧の受配電用変圧器はトップランナー方式の対象になっています。
2006年度には油入変圧器、07年度にモールド変圧器がトップランナー方式の対象となり、14年度には「トップランナー2.0」という新省エネ基準が施行されました。こうした経緯から、変圧器のエネルギー効率は次第に向上しています。
(各目標基準値に向けたエネルギー消費効率の変化。出典:経済産業省)
経済産業省によると、19年度の変圧器の平均エネルギー消費効率(実績値)は1台あたり501Wでした。これをトップランナー制度を導入する前の同818W(99年度)と比べると、約38.7%の改善が見られるとしています。
さらなるエネルギー消費効率の改善に向けて、経産省は26年度を目標年度とする新たな省エネ基準(第三次判断基準)を策定しました。第三次判断基準によって、19年度の実績値と比べて、約11.4%のエネルギー消費効率の向上が見込まれるということです。
26年4月から変圧器の第三次判断基準が開始
トップランナー基準の改定によって、変圧器メーカーや輸入事業者は、26年4月から現在のトップランナー2.0の変圧器を出荷できなくなります。対象となる変圧器は、定格一次電圧が600〜7000V以下のもので、交流の電路に使用される事業用変圧器です。
(トップランナー変圧器 第三次判断基準の対象範囲。出典:日本電機工業会)
また、次期目標の基準値は下表の通りです。
(標準仕様の目標基準値。出典:日本電機工業会)
経年した変圧器は早期リプレースの検討を
変圧器は事業活動に欠かせないインフラ設備の1つです。前述した通り、旧型の変圧器はエネルギー消費効率が悪く、ロスが多く発生してしまう傾向にあります。日本電機工業会によると、21年度時点で国内には386万台の変圧器が稼働しており、このうち、更新推奨時期の20年を経過したものは約221万台で57%を占めるということです。これらの変圧器を新型のものに更新することで、大幅な省エネ効果が期待できます。事業主においては、変圧器の経年を確認して、必要な場合には早期に更新を検討することをおすすめします。
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