国のエネルギー政策の根幹となる、第7次エネルギー基本計画の原案がこのほど公表されました。2040年に向けたエネルギー政策の方向性はどうなるのか、注目の電源構成(エネルギーミックス)はどのように変化するのか、読み解きます。
エネルギー自給率を2040年度に2倍へ
第7次エネルギー基本計画の原案の、2040年度におけるエネルギー需給の見通し(出典:資源エネルギー庁)
経済産業省・資源エネルギー庁は12月17日、第7次エネルギー基本計画の原案を公表しました。原案は第6次計画と比べて、エネルギー・経済安全保障をより重視したものになりました。その背景には、ロシアのウクライナ侵攻、中東情勢の不安定化などの世界情勢があります。
原案では、2040年度のエネルギー自給率を、23年度の15.2%(速報値)から、3〜4割程度(見通し)に引き上げるとしました。そのために、脱炭素電源であり、国内で資源調達ができる再生可能エネルギーに加えて、原子力発電も最大限活用すると明記されました。
こうした考えから、40年度のエネルギーミックスは、再エネが4〜5割程度、原子力が2割程度とされ、温室効果ガス削減率は暫定値で73%となりました。第6次計画で示されたのは30年度のエネルギーミックスだったので単純な比較はできませんが、再エネが36〜38%、原子力が20〜22%だったことを考えると、再エネの割合が引き上げられました。
今後、デジタル化の流れが加速して半導体関連工場やデータセンターなどが増え、電力需要の伸びが予想されていますが、抜本的な省エネや効率化に取り組むことによって、最終エネルギー消費は23年度の3.0億kLから1〜2割減の2.6〜2.8億kL程度とされました。
さらなる省エネをどうやって促進するのか?
現状でも取り組みが進んでいる省エネを、今後さらに促進するのは簡単なことではありません。原案では、高効率機器・デジタル技術などのイノベーションを促進するとともに、中小企業においても脱炭素を進めるとされました。事業活動による温室効果ガス排出量を減らすための第一歩は省エネであるため、脱炭素に取り組むことで省エネも進むとしています。そのためには、省エネ法のトップランナー制度やベンチマーク制度を見直し、支援体制を充実させるとしました。
しかし、高効率機器などの更新を支援する補助制度は現在も実施されています。今後、さらに省エネを促進するためには、現在の支援体制を維持するだけでは不十分でしょう。中小企業においては、設備機器の更新や業務プロセスの見直しに十分なマンパワーを確保できないケースも多くあります。中小企業の省エネや脱炭素を進めるにあたって、より現実的で効果的な支援が求められています。
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