出力制御の対象範囲が、2022年度から拡大するなどの制度変更が予定されています。また、新たに「オンライン代理制御」という制御方法もスタートします。この記事では、出力制御の制度変更のポイントをわかりやすく説明します。
旧ルール10〜500kW未満も新たに対象に
再生可能エネルギーの出力制御は、電気の需要と供給のバランスを保つために行われるものです。九州電力エリアでは、太陽光発電の導入拡大によって2018年10月から実施されています。そのため、今回は、九州電力エリアを例に挙げながら2022年度からの変更点をお伝えします。
まず、九州におけるこれまでの出力制御のルールには、無補償の上限を年間30日とする「旧ルール(30日ルール)」と、この上限を取り払った「無制限・無補償ルール」があります。これまで、旧ルールの出力制御の対象は500kW以上でした。
しかし、2022年度から、旧ルール10〜500kW未満の発電所も新たに対象となるのです。
出典)経済産業省 第35回系統ワーキンググループ 資料1-5「経済的出⼒制御の運⽤および2022年度出⼒制御⾒通しについて[九州電力送配電]
」
上図の赤枠で囲んだ箇所が、新たに対象となる出力区分です。旧ルールの10〜500kW未満の発電所であれば、オンライン・オフラインの両方が出力制御の対象となります。
2022年度からの「オンライン代理制御」とは
さらに、この旧ルール10〜500kWのオフライン発電所に対する制御方法として導入されるのが、新しい「オンライン代理制御」です。
オンライン代理制御とは、オフライン発電所の代わりにオンライン発電所が出力抑制を実施し、事後の売電料金で精算する制御方法を指します。料金で精算するため「経済的出力制御」と呼ばれることもあります。
出典)筆者作成
オンライン代理制御のイメージは上図のとおり。実際に出力抑制を行うのはオンライン発電所のみで、オフライン発電所は通常通り発電を続けることができます。その代わり、オフライン発電所は抑制の代理分の金額が売電金額から差し引かれ、一方、オンライン発電所は代理の対価が補填されることになります。
九州電力エリアでは、オンライン代理制御を行った2ヶ月後の売電料金において精算するとしており、2022年12月からオンライン代理制御が導入される見通しです。
北海道、東北、四国、沖縄でもついに開始か?
こうした出力制御は今、九州電力エリアのみで実施されていますが、2022年度には実施エリアが拡大すると見られています。経済産業省によると、北海道、東北、四国、沖縄の4エリアでもまもなく実施されるのではないかとされています。
出力制御は、発電量が需要を大きく上回るときに行われやすいため、春や秋など、空調などによる電気の需要が少ない時季に多く実施される傾向にあります。そのため、今年のゴールデンウィークごろに実施されるのではないかという見方が濃厚になっており、今後も注意を要します。
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