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アンモニアを燃料や媒体に! アンモニア混焼発電の事例や課題は?

脱炭素社会を目指す中で、急浮上している発電方法が「アンモニア発電」。第6次エネルギー基本計画のエネルギーミックスにも組み込まれています。これまで肥料として利用されることの多かったアンモニアですが、火力発電の燃料として活用するための検討が進んでいます。

アンモニアとは? どうやって作られる?

アンモニアという名前を知っていても、アンモニアが一体どうやって作られているのかを知らない方は多いかもしれません。現在、大半のアンモニアが石炭や石油、天然ガスといった化石燃料から作られています。

出典)経済産業省「燃料アンモニア導入官民協議会 中間取りまとめ

上図のとおり、化石燃料からアンモニアを作るステップは大きく2段階あります。まず、化石燃料を改質して水素を作ります。続いて「ハーバー・ボッシュ法」という反応を用いてアンモニアを作ります

一方で、再生可能エネルギーからアンモニアを作る際は1つ目のステップが異なり、電気分解によって水素を作ります。

なぜ今、アンモニアが注目を浴びているのか?

アンモニアの分子式は「NH3」。つまり、燃やしても二酸化炭素(CO2)を発生しないのです。そのため、脱炭素社会を目指すうえで、火力発電の新たな燃料として関心が寄せられています

実は、アンモニアは以前から、燃料とは別の用途での活用が検討されてきました。それは、水素を運ぶ輸送媒体(キャリア)という役割です。

というのも、水素は輸送や保管が難しい気体です。そのため、水素をアンモニアに変換することで、運んだり貯めたりしやすくする方法が検討されてきたのです。

アンモニアは、今のように注目を浴びる前から肥料として多く利用されてきました。そのため、アンモニアの輸送や保管についてのインフラや法整備もすでに整えられています。

こうした背景があり、アンモニアの燃料やキャリアとしての新たな用途が模索されているのです。

石炭火力発電へのアンモニア混焼の事例

アンモニアを火力発電の燃料とする第一歩として、すでにある火力発電所で石炭と混ぜて燃やす混焼発電が進んでいます。

現在、株式会社JERAの実際の石炭火力発電所において、アンモニアを50%混焼させて発電する実証事業が行われているところです。

石炭火力発電所のアンモニア混焼では、燃焼したときに有害な排出物質である窒素酸化物(NOx)が発生することが課題とされてきました。しかし、日本は2017年、既存の脱硝装置を使って、従来の石炭火力と変わらないレベルでNOxを処理することに世界で初めて成功したのです。

次なる課題はアンモニアの“増産”

資源エネルギー庁によると、国内の大手電力会社がもつすべての石炭火力発電所に、アンモニアを20%混焼すると、約4,000万トンものCO2排出量を削減できるといいます。

もしこれが実施されれば、1年間に約1億トンのアンモニアが必要になるとのことです。しかし、日本が今使っているアンモニアの量は、1年間で約108万トン。そのため、活用用途の広がるアンモニアをどうやって増産するかが、次なる課題だと考えられます。


この課題に対して、「ハーバー・ボッシュ法」に替わる新たなアンモニアの作り方を研究している学術機関もあります。こうした新しい方法が軌道に乗れば、石炭火力発電所へのアンモニア混焼も実用化に向けて加速するかもしれません。

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